2.STEP1 耐震診断

建物の耐震性能を評価し、耐震補強の要否を判定するのが耐震診断です。建築年代の古い建物ほど大きな地震被害を受けやすい傾向があります。特に、建物の耐震基準が大きく変わった1981(昭和56)年以前に建てられた建物は耐震性が不十分なものが多く、耐震診断を行ってください。

耐震診断の費用

耐震診断に必要な費用は、診断の内容、建物規模、構造などによって異なります。また、設計図書の有無等によっても大きく異なりますので、複数の設計事務所から見積もりを取ることをお勧めします。
(参考)国の助成制度では、二次診断について1000円/m2~2000円/m2程度で算出しています。(平成21年度現在)

耐震診断の実施機関について

耐震診断は、構造設計のできる建築士の設計事務所等で、耐震診断の知識経験のある人に調査を委託するとよいでしょう。耐震改修支援センター((財)日本建築防災協会)に相談することも出来ます。 なお、補助金等を受ける場合には、事前に区市町村等に手続きを確認しておく必要があります。

耐震診断の内容

耐震診断は、まず予備調査により、建築物の概要や使用履歴、増改築、経年劣化、設計図書の有無等の内容を確認、耐震診断のレベルの設定等を行います。
その後、現地調査にて、マンションの現況を把握し、設計図書との整合性を確認すると共に、マンションの劣化状況等の診断計算に必要な調査項目を確認します。
調査結果から構造の耐震性の検討・評価を行い、耐震補強案及び概算工事費等を検討します。

予備
調査
現地での目視調査、設計図書の内容の確認、建物修繕履歴等を確認し、診断レベルを判断
現地
調査
診断レベルに応じて必要な、基礎・地盤、劣化状況、部材寸法や配筋状況、コンクリート強度等の調査を行う



第一次診断
  • 壁の多い建築物が対象
  • 柱・壁の断面積から構造耐震指標を評価
  • 計算の難易度 : 易しい
第二次診断
  • 主に柱・壁の破壊で耐震性能が決まる建築物
  • 柱・壁の断面積に加え、鉄筋の影響も考慮し、構造耐震性能を評価
  • 計算の難易度 : 難しい
第三次診断
  • 主に梁の破壊や壁の回転で耐震性が決まる建築物
  • 柱・壁(断面積・鉄筋)に加えて、梁の影響を考慮し、構造耐震指標を評価
  • 計算の難易度 : 非常に難しい

耐震診断結果について

耐震診断の結果算出される構造耐震指標Isの数値により、建物の耐震性能を下表により判定します。(第二次診断・三次診断の場合)

Is値 地震に対する安全性
0.3未満の場合 倒壊し、又は崩壊する危険性が高い。
0.3以上0.6未満の場合 倒壊し、又は崩壊する危険性がある。
0.6以上の場合 倒壊し、又は崩壊する危険性が低い。

建物のIs値が0.6の場合の被害の状況の目安

建物のIs値が0.6の場合の被害の状況の目安